TeXユーザの集い
10/23は TeXユーザの集い2010 ということで東大へ。 会場に入ってみたら案内のスライドがBeamerだった。 Beamerといえば,うまくいかなかったところをtwitterで黒木さんに教えてもらったので この機会にお礼を…ということで探していたら,向こうから声をかけていただいた。 例のアイコンでわかったとのこと。 その後, 村上真雄 さんに「XTRにはお世話になった」という話をしたり(W3Cのすごい人に何を話してるんだか), 武藤さん にOSS貢献者賞のお祝いを言いに行ったら,Debianの佐々木さんを紹介してもらったり。
で,発表が始まったので真面目に聞く。 高遠氏によるKETpicの話は,今まで知らなかったので興味をひかれた。 emath 以外の選択肢もあるんだな,と (もちろん高校数学ではemathはおよそ必要なところすべてに手が届くものなのだが)。 マニュアルで説明されていない点は後にWebで, KETlayerとの組み合わせ方をポスターで知ることができた。 これは職場で紹介しよう。
BibTeX文献リストを用いた研究成果発信・管理支援システムの話が小西氏からあったが, これは危険だ… こういったシステムを作ることはとても楽しい現実逃避だからだ。
マークアップ言語ULMUL開発の話が西松氏から。 いいんだけど…MathMLへのブラウザ側の対応がアレなことを思うと二の足を踏んでしまう。
「日本人の知らないTeX」by 八登氏。 正直いって,このあたりの「いろんなTeX」のことはまったくわかっていない。 ずっとpTeXでしか作業してこなかったので。 そんなわけで新鮮な話だった。
Norbert Pleining氏によるTeX Liveの話。 インストーラやTeX Live Managerには驚かされた。 後日,実際にインストールをしてみたのだが (後述するようにpTeX等が取り込まれたということなので),こりゃ確かに簡単。 これだったらDVD1枚渡して「これでやっとけ」で済んでしまうわ。
「トラブルを未然に防止するTeX関連ソフトウェア利用法・開発法」 by 土村氏。 まず,TeX関連ソフトウェアのアップデートはどうするんだ,という話。 新しくするばかりではだめで,理想は必要な時点の環境が構築できること。 そこで兼宗氏の アーカイブ が紹介された。 また,TeX Live 2010でpTeXなどが取り込まれたことの報告があった。 これは嬉しい。 終わりの方で 「独自ライセンスを作るということはディストリビューションへの採用を拒否するのと同じだ」 「パッケージング作業は自動化すべし」 「過度の作り込みに注意」 といった指摘があった。どれも納得いく話だ。
ポスター発表で展示されていた 暗黒通信団 の本にはしてやられた。 『円周率100万桁表』『自然対数の底100万桁表』『オイラー定数100万桁表』 『大腸菌O157のすべて』 だけならまだいいが(いいのか?) 『uuencodeされた本』『ソートされた本』 はアイディアがすごい。ある意味誰でも真似はできるけど,どうしたって真似にしかならない。 あと,『バカには見えないピアノ曲』は最後まで意味がわからなかった。 いや,まだわからんのだけど。
パネルディスカッションでは,出版に携わっている人から忌憚ない話。 TeXで無神経に打ち出しただけのものではとても使い物にならないとのこと。 最初は「そりゃあなたたち印刷業界の人たちの目が肥えすぎてるんと違うの?」と思っていたが, 話が進むとそんな単純な話ではないことに気づかされた。 原稿を作るプロと本を作るプロがきちんと分業して, それぞれの得意を活かそうということなのだな。 だから著者が紙面をやたらと作りこんでも, それが両者にとってのマイナスになりかねないのだと。
懇親会はいつものごとく。 オーム社がTeXで製版した本の見本として持ってきたものを配布してくださったので, 『RailsによるアジャイルWebアプリケーション開発』をいただいた。 PHPにも手を出し始めたんだからRailsも手を出していいよね,ってことで。