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ノート:


 個人的な思いをはっきり言ってしまえば,普通教科の授業にITがそんなに必要なものだとは思わない。それを使うことで効果を得られるところには使えばいいし,そういうところがなければ使わなければいい,ただそれだけの話だ。たとえば数学の教師のうち,自分自身が数学のためにPCを使っている者は少ない。自分が使ってもいない道具を使わせることにメリットがあるだろうか。
 数学でのPC利用ということについていえば,統計分野を必修としないことが私には不思議でならない。私自身は「基礎解析」とかの教科書で学んだ最初の学年なのだが,当時から「推定・検定」は教科書には載っているもののほとんどの生徒が履修しなかった(特定分野を除いて入試から省かれていたし)。その後何度か指導要領は変化しているが,この状況はまったく変わりない。その結果少なくともここ20年くらいの間に高校生活を送った人のほとんどは,統計的分野について履修していない(せいぜい標準偏差の計算をやって「模試の偏差値はこれを元に計算されているんだ」「へぇ」くらいのものだろう)。当然教師の側もほとんどがその分野を教えた経験がないし,極端なことを言えば自分で勉強したことさえない教師だっているはずだ。これでは有効数字でしか「誤差の範囲」を考えられない人がいても不思議はない。そんな状態で表計算ソフトの使い方を覚えたところでいったい何の価値があるというのか。TVの「発掘あるある大辞典」や「ためしてガッテン」の視聴者の中に,被験者の少なさに苦笑する人はいくらでもいるが,だったら何人いれば信用するのか。
 教師あるいは社会がITをほんとうに使っているのか,あるいは使っているソレはほんとうにITとやらでなくてはいけないのか,それを見直す必要があるのだ。