ノート:
前ページまでにいくつかのプログラム例を示したが,正直言って意味がないと感じて翌年には使わなかったものもいくつかある。たとえば楕円を定義通りに書くならヒモを持っていった方がいい。書き終わった後でそのヒモを伸ばせばちょうど長軸の長さになることが一目瞭然だ。黒板で済むことをやってもPCでやっても意味がない,むしろ逆効果でさえある。
たとえばビデオ教材を見ている最中にノートをとる生徒がどれだけいるだろう。ほとんどは終わってから教師がまとめを板書するのを待っているのではないか。その状態が良いとはまったく思わないが,彼らはそういうスタイルでずっとやってきたのだから今さら変わりようがない。その状況で私が一番憂いているのは,彼らが考えるために図を描くことができなくなっていることだ。図そのものが表している値を使ってものを考えるということができていない。
Fを焦点,lを準線とする放物線を描けといったときに,生徒がフリーハンドで描く図は×をつけたような細いものになりやすい。ところがほんとうは図の正方形の隅を通るのだから,まともに図をかけばこのようになるはずがない。そういったことを,手書きで図を描くときの見本となるのはやはり教師が手書きでリアルタイムに描いていく図だ。コンピュータの画面で見たものはどうしても定性的なイメージにすぎず,それを定量的に正しく扱うためには手作業が必須だと思われるのだ。