句読点
横書きの句読点について職員室の一角で少し盛り上がったのでそのまとめ。
要は「横書きの読点はテンかコンマか」という話。国語便覧には,コンマは誤りとする記述もあり,国語の教科書で横書きの部分の読点はテンが用いられているが,他の多くの教科の教科書ではコンマが用いられていることが多いようだ(日本史までも!)。このことについての温度差が人によってかなりあることがなかなかおもしろく感じられた。教室の掲示物なんかでもテンのものとコンマのものが混じっているようだし。
ではコンマを使う根拠は何かということなのだが,私は1952年に内閣府が出した「公用文作成の要領」によるものだと思っていた。これには
句読点は,横書きでは「,」および「。」を用いる
と書かれている。しかしそれ以前,1946年に「区切り符号の使ひ方〔句読点法〕(案)」ですでに触れられているようだ。
ピリオドは,ローマ字分では終止符として用ひるが,横書きの漢字交じりかな文では,普通には,ピリオドの代りにマルをうつ。テン又はナカテンの代りに,コンマ又はセミコロンを適当に用ひる。
とのこと。
しかし今年の1月に「公用文作成の考え方」が文化庁から出され,そこには
句点には「。」読点には「、」を用いることを原則とする。横書きでは,読点に「,」を用いてもよい。ただし,一つの文書内でどちらかに統一する。
と書かれている。コンマは「用いてもよい」に格下げされた。報道でもかなり取り上げられたので「何をいまさら」と思った人も多いかと思うが,前述した70年前の文書がまだ生きているからということだろう。
なお「公用文作成の要領」で検索すると自治体が定めたものも多く見つかり,その中には「テンマル」を使うとされているものもいくつかある(というかわりと多い印象)。理系分野で「コンマピリオド」も多く使われるのは木下是雄先生の「理科系の作文技術」の影響もあるのか,それ以前からの慣習を木下先生がまとめられたのか…などいろいろ思ったりしている。
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