ちと時間ができたので「ルポ最底辺](生田武志著,筑摩書房,
)を読む。ホームレスに対する攻撃があることは知識としては知っていたが,
これを読んで状況の一片はわかったような気がする。
逆にいえば,これまでそれを私が理解していなかったということでもある。
事態は
以前
に書いたことの相似形ではあるかもしれないが,
倍率はずっと大きいように思われる。
わかりやすいのは227ページの「カフカの階段」だろう。
ホームレスに落ちるまでにはいくつかの段階(セーフティネット)があるのに,
それがぼろぼろになっている今では,
そこから戻ろうとするには一気に数段飛ばしをしなくてはならないということ(それは無理)だ。
たとえば生活保護を受けるには定住所が必要だと役所は言うが,
定住所が持てるなら彼らはとっくにホームレスでなくなっているのだ。
役所が紙に書かれたルールにしたがってママゴトをしている間に,
「網」からこぼれた彼らはどうしようもなくなっていく。
正直いって,この状況にやりきれない思いは感じるものの,
具体的にどうしていいのかわからない。
著者のように具体的な行動を起こすには今の生活が重すぎる。
それ以前に,自分の中の彼らに対する評価をまだ修正できないでいる。
とりあえず今は,この現実を自分の胸に置いておくことにしよう。
そうすればこのさき自分の目に飛び込んでくるニュースを,
今までと違った視点で見られるだろう。
ちょうど降り立った駅で「The Big Issue」を売っていたので,
読んでみることにするか。