プロ棋士の思考術
だいぶ前に読んだのだけど,読み返そうと思ってカバンに入れっぱなしになっている。『プロ棋士の思考術』(依田紀基著,PHP研究所)。去年くらいに日本棋院のサイトにエッセイを書くという話が出てすぐ消えたのだけど,そこで書こうとしていた内容なのだろうか…荒れていた頃の話とか,民主党の小沢代表への肩入れの仕方とかが,日本棋院で掲載するには不適当と判断されたのかな。
同じ年の生まれという親近感も手伝ってか,いろいろ「わかる」ような気がする。最初の方に「いい手を繰り返して無意識に落とし込めないと本物じゃない」とあるのは,私が数学でいつも思っていることだし。最後の方の「学問には『正解』があるが社会にはない」の項にはいくらか異論があるが,これは依田氏と話した「高学歴の人」の答えに難があるから仕方がない。確かに社会に出たら答えがない仕事をしていくわけだが,学校で答えを導くのはそのための思考を訓練しているということだ。それは決して「高学歴の人」がいうような忍耐力ではなく,上述した「無意識への落とし込み」なのだがなあ。もちろん今の教育がそのために最適化されているとは思わないから,我々は模索を続ける。生徒の立場だったら定石でかなりの場面を切り抜けられるだろうけど,我々の立場ではそうはいかないのだから。
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