不定期戯言

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2007.03.10 (Sat)

1000年

・そんなわけで「千年,働いてきました」(野村進著,角川書店,ISBN 4-04-710076-5)と「3001年終局への旅」(アーサー・C・クラーク著,早川書房,ISBN 4-15-011347-5)を読み終えた。「千年〜」の方では,西欧的な合理主義じゃない部分がいくつもクローズアップされていた。そういう共同体的なセーフティネットという感覚は今後どんどん失われていくのだろう。この本で言っているのは「老舗だからいい」ではなく,「こんないい老舗がある」だ。いろいろな無理とか短いスパンでは無駄でしかないことを許す地盤があることは幸せだと思うし,それが許されないために先細りになるのはもったいないとも思う。

「3001年」はなんだかあっけないラストだったのだけど,それ以前のところがおもしろかったのでよしとする。

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ワープロ07

・というわけで深夜バスで新宿に着いたのが6時前。例によって時間が余りまくってしまうのが難点だ。国立の駅前から一橋大学までの道がきれいに整備されてることに感心しつつ,ベンチで文庫本を読んで時間をつぶす。

・午前の基調講演を聞いて思ったこと。情報処理学会を外から見てる人の中には同学会はプログラミングを中心にやれと言っているとかプログラミングの体験は数時間だなんて,ずいぶん軟化したじゃないかというような誤解をしている人がいるのだが,プログラミングへの忌避や抵抗感がこういう誤解を拡大しているようにも思える。

・午後の情報分科会では,Computer Science UnpluggedとPENの話。私も「こんなことしかできてません。へろへろ」という発表を手短に行なった。発表の後で某大学の先生が話をしてくれたのだが,彼の授業では代入や順次実行だけで90分使っているとのこと。というのも,その先のことがわからなくなる原因を探っていくと,結局そういった基本の弱さに起因するということらしい。なるほど,私は数学の場合よりもっと「わからない人の考えがわかっていない」のだろうと気づかされた。

それにしても,終わってからの質疑で代入が移動になるような言語を考えることは面白いかもしれないという話が出るあたりはさすがだなと感心した。また,原理に関する話を高等教育でやって初等中等でオフィスソフトを扱うというのは,本当なら逆じゃないのかという意見にはまったく納得させられた。

・懇親会ではUnpluggedの実践を発表された先生方との話が中心になった。私は小さい頃に買ってもらった「チャイクロ」という絵本のことを思い出していた。Unpluggedは確かに効果があると思うのだけど,これが特別なことに思えてしまうほど初等中等教育での情報教育の手持ちカードが少ないことは,実はけっこうまずいことでもある。つまり,そのくらいにまだ歴史が浅いということだ。

上で「初等中等教育でオフィスソフトを扱うのは逆だ」ということを書いたが,だったらなぜそういう状況になっているかといえば,情報教育へのアプローチをそれ以外に知らないからではないだろうか。

・二次会では情報を必履修から外そうとしている勢力のことなどの深刻な話題も出たし,この業界はミュージシャン崩れも多いけど「鉄」属性の人も相当…「いや,俺は鉄じゃない」とか,そんなのんびりした話もあった。

・帰りの電車の中でケータイで検索したら,三鷹に3000円のカプセルホテルがあるということなので,PEN開発者の中村氏と一緒にそこで泊。マンガ喫茶じゃないところで泊まるのって久しぶりかもしれない。

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