不定期戯言

戻る

« | 2025 | Jan Feb Mar Apr May Jun Jul Aug Sep Oct Nov Dec | »

古いページ 新しいページ

2008.08.20 (Wed)

SSS2008

・今日は発表がぎっしり詰まっている。特に興味をひかれた発表について:

・布施泉氏(北海道大学)らが教科「情報」が実施される前から行なっている調査によれば,いくつかの設問については「わからない」から「自信をもった誤答」に移行している状況があるという。「音楽CDの曲を他人がアクセス可能なコンピュータ上に置くこと」の是非については,iTunesやYoutubeの状況から誤解しているのだろうという解釈がなされているのでまあいい。問題は「引用」に関する「公開された著作物を引用するには著作者の許可が必要であるか」という設問について上記の状況があることだ。著作権に関する教育はほとんどの学校でなされているだろう。しかし,それが「とにかく何でも許可なしにやっちゃだめ」みたいな話になっている(少なくとも生徒の印象が)状態になっていないかということだ。論文には

著作物について考察する場合には,通常は,他人の著作物の保護に関する教育を全面に進めていると考えられる。『SSS2008 情報教育シンポジウム論文集』p.22

とある。本校はどちらかというと,18〜28条あたりはさらっと流して,30〜38条あたりに重点を置いているので,この結果が意外なものに思われた。

単なる○×でなく,それに自信度を付加する形での回答をさせたことが,この調査結果に結びついたわけだ。授業者の思い込みに陥らないためには,このような事例をさらに増やすことが求められているのだろう。本校では3学期に著作権などの話をするので,何か準備をしておきたいところだ。

・青木浩幸氏(高麗大学)らによる中学技術科での計測制御に関する発表を見ていくつか心配なことが頭に浮かんだ。学習指導要領は「プログラムと計測制御」ではなく,「プログラムによる計測制御」なのだということだ。技術科の教員はコンピュータに明るいとは限らない。彼らの中に自分の手で「プログラミングによる計測制御」をやってきた人はどのくらいいて,その実践をどのくらいイメージできているのだろうか。学習指導要領で必修と定められた以上,教科書には掲載されるはずなのだが…恐れるのは,適当な「逃げ」の手法が広まってしまうことだ。そうなる前に,真っ当な手法が広まってほしい。

・三浦元喜氏(北陸先端科学技術大学院大学)のAnchor Gardenはおもしろい。私自身,Javaでプリミティブ型とオブジェクト型を意識しなくてはいけないことでいくらか混乱した経験がある(C++の経験が助けになったが)。それをこうやって図示するのは確かに意味があると思う。

・荒木恵氏(慶應義塾大学)らが行なった,プログラミング教育の導入のためのワークショップにも興味をひかれた。プロジェクトに関わるいろいろな立場…施主・設計者・プログラマ・テスタ…のコミュニケーションを体験しようというもので,ここにアンプラグドの考えが用いられている。私が行なう情報の授業ではこのような役割分担について触れることは想定しないが,言語による意思伝達のシビアさは何らかの形で体験させたいと考えていたのだ。具体的な授業の形はまだ思い浮かばないが,じっくり考えてみたい。

・阿部圭一氏(愛知工業大学)の『良い情報表現のための一般原則』は今回の発表の中で異色だったかもしれない。「知的生産の技術」や「発想法」などのLife Hackが提唱されてからずいぶん経つ。阿部氏がこの発表や著書『明文術』で行なおうとしていることは,それの現代版のように思えるのだ。

・ナイトセッションのとき,Unplugged本(購入したPDFをプリントアウトして2穴バインダに閉じたもの)にTim Bell氏のサインをいただいた。

コメント(0)

コメントの受付は終了しました。

2008.08.19 (Tue)

SSS2008

・初海外ということで,あらかじめいろんな人から聞いていたアドバイス通りに行動。たとえば出発の2時間前にちゃんと空港に行く(1時間前でもなんとかなるといっても!)とか,ウォンへの両替とか,持ち込み荷物のこととか。おかげで何のトラブルもなく済州島に到着。お昼はビビンバをいただいた。野菜が多くてヘルシーっぽい。
辛さは自分で調節

・Unplugged Computer ScienceのTim Bell氏と,高麗大学のHyeonCheol Kim氏の招待講演から始まったが,英語だということでやはり大部分わからなかった(スライドを頑張って読んだが,それでも…)。それはそうと,Tim氏のスライドに間辺氏の名前が出たときには驚いた。

・久野靖氏「日本の情報教育の現状と将来に向けての活動」
今の教科「情報」が生徒にとっても教員にとっても教員志望者にとっても明るい状況にないこと,ソフトウェア開発が日本では価値を理解されずに寒い状況にあることなどが話され,これらを打開するにはある程度は「技術」についても裾野を広げる必要があるという。私が勤務校で情報Bをやっているのはおよそ同じ考えに基づくものだ。

講演の質疑で「技術の前に科学がある」という発言があった。思うに,Unpluggedはコンピュータ科学のためではあるが,コンピュータ自体が既に技術の結果であるということは,そのベースになっている科学があるということだ。私感だが,その科学はコンピュータという機械のために考えるものとは,少し別の次元にあるのではないだろうか。

・和田勉氏「アジア圏におけるアンプラグドの取り組みと工夫」
"Parroty Error"は日本語版では訳されなかったが(別なジョークを思いつかない限り,それが最良の選択だと思う),韓国や中国では直訳されたために意味不明になっているという。冒頭で「狭義」のUnpluggedはTim氏の本にある12個のactivityをさすという話をしたが,それが決して「教義」になってはならないのだと私は思う。

コメント(0)

コメントの受付は終了しました。

2008.08.03 (Sun)

私たちのあせり

・落伍弟子のブログの「10代のネット利用を追う」で,Internet Watchの高橋正夫氏(全国高等学校PTA連合会・会長)へのインタビュー記事が取り上げられていた。特に後編の「19歳以上は事件に遭ってもいいのか?」以降が重要だと考える。「大人の自信の無さ」のために,フィルタリングへの責任転嫁みたいな対応が発生してしまうように感じられてしまう…子供たち自身がいろいろな意味で強くなることでしか解決できないことなのに。もちろん全員が強くなれるわけではないのだから,安全策を用意すること自体は悪くないのだけれど,強くなる機会をきちんと提供せずに安全策だけを考えるのは底の抜けたバケツに水をためるようなものだ。

辰己先生のブログで「教科『情報』をよくする二つのキーワード?」の一つにあげられている「大の大人の情報リテラシ」は,現状ではあまり当てにならない。だから底上げを図る必要があると我々は考えるのだが,大抵の人は自分のわかる範囲で価値判断をする。一般の人はそのレベルで想像できる範囲で「情報リテラシ」というものの価値を判断をする。その判断結果が教科「情報」軽視にもつながっているのだろう。この悪循環をなんとかしたいとは思っているのだが,大人に新しいことを吹き込むのは難しい。

別の記事「スタートが遅れればゴールも遅れる」

情報教育を充実させたら、すぐに判断能力が向上するとは思えませんが、もし「今から変革をはじめると、20年かかる」のならば、「今から10年後に変革を始めると、今から30年後にしか実現しない」と言えると思います。

とあるように,教育が変わっていくためにはとても時間がかかる。私も40を過ぎて,定年まであと20年しかない。その間に何ができるだろう。

コメント(0)

コメントの受付は終了しました。

2008.06.30 (Mon)

jaeis全国大会

・昨日,一昨日は日本情報科教育学会の全国大会ということで滋賀大学教育学部へ。Tシャツにジーンズという格好の人が他にいなくて気恥ずかしい思いをした。次回はもう少し気をつかおう。

・資料を職場に置いてきたので,内容についてはおいおい書いていくことにしよう。とりあえず最後のパネルに関する話だけ:
情報モラルの指導をどのように行なっているかという話題で

私は「情報モラル」というくくりが気に入らない。本来必要なのは「ルール(法や規則)」と「しくみの理解」なのであって,あとは本人に倫理と論理さえあればおのずと態度や行動が導かれるはずだ。しかし高校生にもなるとすんなりと倫理が入っていかないし,いっぽう論理で思考できる能力があるとも限らない。そんな風に自分で倫理と論理の橋を渡れない者のために,とるべき態度や行動をしかたなく教えている。

と発言した。模擬フィッシングやチャットの体験に効果があることは理解できるし,それでなされているいい実践については完全に尊敬している。しかし教師の十分な説明と本人の十分なイメージがなければそれはただのスリルに終わり兼ねない…そんな危惧を抱いているということだ。

帰りの電車内でいろんな話を反芻しつつ,『なぜ日本人は学ばなくなったのか』(齋藤孝著,講談社,ISBN 978-4-06-287943-9)を読んでいたら,あとがきの次の一節が気になった(この本についてはまた項を改めて書きたい)。

私はずっと「技」や「技化(わざか)」ということに,こだわってきた。何か注意されると「あぁ,それなら知ってた」と言う人がいる。できていないのに「わかってる」と言い続ける人には進歩がない。「知っている」ことと「できる」ことは,全く違うことだ。そのあいだには深い川が流れている。
この川に橋をかけるのが,「技」だ。反復練習を重ね,いつでも確実に使えるもの,それが技だ。現代日本では,この技を習得する根気が欠けがちだ。

上記した「倫理と論理の橋」を渡る訓練をどこでやるんだろうと考えてしまった。行動が宗教に縛られない日本人にとって,「よく生きる」ことを目指す意志は何を根拠に発生し,継続されると期待すればいいのかと…「リスペクト」を失った現代において。

・勢いあまって『情報のみかた』(山田奨治著,弘文堂)と 『ディジタル時代の学びの創出』(久保田健一・水越敏行著,日本文教出版)をアマゾンで注文した。

・余計な話:

一日目の夕方,予約したホテルが琵琶湖のそばだったので歩いて見に行ってみた。おお,広大だ。しかし,この風景とかウォーキングコースとか,なんとなく見覚えがあるんだよな。いったいいつだったんだろう。

二日目に大学構内の道路脇でザリガニをみつけた。ひさしぶりだな,と思ってつかまえてみたら案の定怒られた。ごめんなさい。

コメント(0)

コメントの受付は終了しました。

2008.06.11 (Wed)

日本情報科教育学会全国大会に行く準備

・今日は早く仕事が終わったので,ルートの確認とか宿の予約。最近3000円のカプセルホテルばかり使ってるので,5000円近い宿泊費がやたら高価に思える。でも,1日ずつ日帰りするよりは安上がりなんだよな。

コメント(0)

コメントの受付は終了しました。

2008.05.25 (Sun)

日文セミナー

・ということで日本福祉大学名古屋キャンパスへ。スタッフと講師以外に知ってる人の顔がないような気が…。

・「町田高校での教科情報授業実践と今後の展望」 by 小原格氏@東京都立町田高校。
必然的に自分の授業を見直す…学年で2時間やれればもっときちんとしたことができるだろうとは思うのだが,1時間ずつに分断されてしまっているので期末テストのために教え込む方向にいってしまう…というのも言い訳にしかならないのだろうけど。

・「デザインは計算だ」 by エイムデザインスタジオ主宰の大橋ケイタ氏。
デザインに求められているのは芸術ではないということはたとえばVX氏のやっていることなどから言葉の上では知ってはいたが,それを自分がやるという気にはなれないでいた。しかし実際に目の前でこういうのを見せられると中学時代美術で評定2をもらった私も「勉強したらこれがわかる=勉強しないとこれができなくて悔しい」という気持ちになってしまう。積ん読が増えてしまいそうで怖い。

・「プレゼンテーション10ステップ」 by 影戸誠氏@日本福祉大学。
奥村先生のブログにもあっただが,たとえばアニメーションなんてのはどうでもよくて,大事なのは「内容をどう作るか」と,それに加えて「どう話すか」なのだと。プレゼンのスライドなんて,今どこの話をしてるかの目印に過ぎないのだし。

高校生にやらせるプレゼンは5分が相場で,それで語れないならさらに時間を与えてもぐだぐだになるだけ,という話は感覚的に納得できる(私自身はプレゼンの指導はしていないが)。

コメント(0)

コメントの受付は終了しました。

2008.05.21 (Wed)

RGB

・ずいぶん前にフルカラーLEDを使って光の三原色の加法混色を見せる教材を作ったのだが,光の強さを抵抗で直接ナニするという手抜きだった。ところが先日発売されたエレキジャックにタイマIC555の特集があったので,それに触発されてちゃんと点滅のデューティ比を変えるやり方で作り直してみた。

そのままだとRGBが直接見えて混ざらないので,ペットボトルの蓋をかぶせてみた。携帯で撮ったムービーをffmpegで変換してみたが…あんまりキレイには変化してないな。

コメント(0)

コメントの受付は終了しました。

2001.03.03 (Sat)

日本情報科教育学会 第15回フォーラム

パネルディスカッションに登壇させていただき,「共通テストに向けた指導に関する私見」ということで少し話をしてみた。こういう学内政治的な話は私がもっとも苦手とするところであって,「らしく」はなかったとは思うが,大切な話であることは間違いないと思ってのことである。私自身,勤務校で5月から動画とか作りながら対応してきた。もちろんそれで足りるとは思っていないが,そういうことをやっていることをわかっていない教員(当該学年でありながら)もいるようだしなあ。

コメント(0)

コメントの受付は終了しました。

2001.02.02 (Fri)

ネタ持ち寄り勉強会

私は夏休み中に受けた「Vivliostyle」の講習会の内容を受けて,「薄い本を作ってみた」というネタを持っていった。それ以外にも小ネタはあったが,ちょっと外では話せないので内緒。

コメント(0)

コメントの受付は終了しました。

2000.10.01 (Sun)

パソコン甲子園予選

といっても,監督をするだけなのだが。勤務校から1チーム(2人)が出場ということではあるが,私が何か指導とかしたということはなく,単に手続きをしただけである。一人はC++,もう一人はJavaでの参戦。問題の中身とかは見ていないが,しっかり取り組めたようであった。結果は2週間後か。

コメント(0)

コメントの受付は終了しました。

古いページ 新しいページ