全国高等学校長協会から「学習指導要領改訂に向けて(お願い)」という要望書が出たらしい。その中に,教科「情報」についての記述がある:
高校入学時の生徒技能差は拡大の一途です。高校での指導者不足と相まって、教科としての存続を疑問視する意見がかなりあります。情報モラル教育は大事ですが、これは「情報」で扱うのが適切か、他教科内指導や生徒指導一般で扱う方がよいのか、今後の検討が必要です。
だいたい,指導者不足だからといって手を引いてしまったら,事態がさらに悪化するという単純な因果に気づいていないのだろうか。
それに今の「指導者」の多くは曲がりなりにも講習を受けてそのための勉強をした上で教壇に立っている(はずだ)。情報モラルの指導を他教科や生徒指導で行なうというなら,その指導を行なう者がそのための勉強をしてくれるという前提が必要なのだが,果して彼らは適切な勉強をする環境を手に入れられるだろうか。いいかげんな情報がまるで常識の顔をして出回っている中で,生徒を指導するに足る知識や考えを作り上げるのは簡単なことではない。
だいたい,各学校の校長がこの国の将来のことを考えた上でその発言をしたのか?私にはそんな風には思えない。辰己先生の研究雑報へのコメントに書いたように,彼らにとって重要なのは地域内他校と自校の格差であって,他国と自国の格差ではない。なぜならそれは親たちの要望でもある…わが国の心配と,わが子の心配は別物なのだ。彼らはひょっとして日本が情報先進国であるとでも錯覚しているんじゃないか?
新しい世界に対応するためには10年耐えて試行錯誤するという腹の括り方が必要で,そのビジョンを示すことで(腰が引けてしまっている)校長たちを引っ張るのが,国の機関が果たすべき役割だと考えている。
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