IRCで,Kenji Rikitake氏のはてなダイアリーの記事「情報系学会の研究会で『情報系学会の研究会が危ない』理由を話してきた」を紹介された。私には学会の様子はわからないが,思うにそれは「情報系」にも限らないし「学会」にも限らないことだろう。私は彼の嘆きを,職場での私の嘆きに重ねている。
先日の職員会議で,学内WebサーバをMoodleで運用することを宣言した。LDAPが使えるからアカウントが一本化できるとか,投稿がメールで配信されるからわざわざ見にいかなくていいとか,そういったシステム上の利点も説明したが,私が本当に言いたかったのはそのことではない。職場内で資料やそれにまつわる意見や思いが共有されずに垂れ流しになっていることをなんとかしたいのだ。
そのためにはまず,現状が良くないことに気づいてもらわないといけないのだが…これが難しい。日々のルーティンワークをこなし,各年度,各学年をこなしていくだけなら前と同じことを繰り返せば形にはなるからだ。しかし仕事をゼロから構築できない者をプロと呼べるだろうか。もちろん毎回フルスクラッチでやっていたのでは効率が悪いに決まっているが,できないからやらないのと,できるけど必要性と効率を秤にかけてやるかやらないかの判断をするのとでは全然違う。そして後者のためには資料の解析が必要であり,そのためには資料の保存が必要であり,そのためにMoodleが活用できると考えている。
たとえば成績資料は表計算のデータが残っていればいいと思っているかもしれないが,実はその前提となる雑多な情報(たとえばクラス分けの状況,試験の科目や選択問題,学習進度などは年度によって違うことがある)を踏まえて処理しないとただの数字遊びに終わってしまう。その「雑多な情報」を記憶だけに頼っている危うさに気がついてほしい。そうすれば私がMoodleを持ち出した理由がわかるはずだ。
私は仕事のメモを「業務日誌」という形で職場内Webに残しているし,会議資料や教材,研究会の発表資料や研究資料も同様に公開している。もちろん自己顕示の思いがないとはいわないが,他の人たちの「考え」も同じように見てみたいから,その呼び水になりたいとも思っているのだ。身内びいきかもしれないが,ウチの職場には興味深い面子がそろっている。それぞれに世界を持っているから会話していておもしろい。そのおもしろい会話を茶飲み話のまま空中に離散させてしまうのはもったいない…そう思っている。
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