不定期戯言

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2007.05.29 (Tue)

「談合」か…

・ここんとこ「フューチャリスト宣言」(梅田望夫・茂木健一郎著,筑摩書房,ISBN 978-4-480-06361-8)と「脳の中の人生」(茂木健一郎著,中央公論新社,ISBN 4-12-150200-0)を読んでいる。これを読んでようやく,茂木氏が「アハ」の人であり「プロフェッショナル/仕事の流儀」の司会であるということに気がついた。梅田氏と茂木氏のポジティブさには恐れ入った。特に,茂木氏はすごくラジカルだ。「偶有性の受容」は重要なキーワードだと思う。

・面白かったのは,日本の入試は談合だという話。試験範囲をがっちり決めてしまってそこから逸脱することは一切許さない,人工的な競争・競技だというのだ。笑ってしまうほど同感だ。なぜ笑ってしまうかというと,私自身がその「競技」をうまくやれるよう努力してきたし,それを指導してきたから。しかし今「情報」の授業を担当するようになってそれが変わってきた。なぜなら「情報」にはまだ競技とよべるだけのルールができていないからだ。その中で少しでもいいものを生徒に与えたいし,そもそも何が「いい」なのかについても考えている。そういったことで悩むことが,今の自分には非常に楽しい。

また,学歴が自慢になるのはそれを手にする者が少ないからであり,その希少価値は大学の物理的リソースの制限に起因する。しかしそれに相当する知的スキルを誰もが入手できるようになったら,学歴は自慢にならなくなる。そのときアピールできるのは「自分は何を学んだ」「何に所属している」ではなく,「自分は何をした」「これから何をする」だと。実は昨日ある研究会で愛知教育大学の江島徹郎准教授に講演をしていただいたのだが,そこで江島氏が語ったバーチャル大学やe-ラーニングの話ともつながっているのだった。

科学の醍醐味は「わからないこと」にあるはずなのに,学校もテレビも「わかったこと」を「わかりやすく」伝える努力ばかりをしている。実はそのことが子供の好奇心を削いでしまって「理科離れ」につながっているのではないかとの指摘にもなるほどと思う。

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2007.05.24 (Thu)

デジタルプア

・辰己先生の研究雑報で,今週のAERAの記事「携帯オンリー デジタルプアの壁」の話題があったので,買って読んでみた。表紙はアンジェラ・アキ。AERAって,電車の中吊り広告のダジャレしか目に入ってなかったからなあ。

・さっきテレビで,マックやネットカフェに寝泊まりして日雇い派遣で食いつないでいる若者の特集をしていた。週払いに切り替えてまとまった金額を受け取れるようにしたいのはやまやまだが,その間の食い扶持をつなぐ費用が捻出できないという。AERAの記事にも,パソコンが使えれなければ時給の安い仕事を受けざるを得ない,かといってパソコンを買って勉強しようとしてもその資金がない,そんな風に携帯日雇いスパイラルから抜け出せないという状況が書かれている。発展途上国の子供にありがちなこのスパイラル(学校に行かせた方がいい仕事に就けることはわかっていても,目先の労働力として使わざるを得ない)が,この国の青年にも起きているというのだ。

・ふと,内田樹の「下流指向」に

文化資本は統計的には正規分布してないんですから,下の方の階層の人は文化資本が豊かに備わっている日本人が存在するということ自体を知らない

から,文化資本の階層は拡大する一方だと述べられていたのを思い出した。「上流」を知らない「下流」には,文化を得るためのモチベーションさえ得る機会がないというのだ。

いくら携帯が進化したとしても,携帯でできることとパソコンでできることが同じレベルになるとは思えない。情報を有機的に処理して生み出すという点では後者に多くの利があると私は考えている。その「利」を知らないまま育った者にとっては,パソコンが携帯電話以下の存在にしか見えなくても仕方ないのかもしれないが,それが自分を「下流」に固定してしまうことにつながる危険性を知る機会くらいはあっていいと思う。高校の教科「情報」の中で,その助けができればいいのだが。

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2007.05.12 (Sat)

かきつばたフォーラム

・父母懇のかきつばたフォーラムで講演を依頼されていたので,「子どもたちのインターネット事件」をネタにしていろいろ話す。最後の方は駆け足になってそれなりにぐだぐだになった気がするのだけど,なんとかちょうどの時間で終了。

・終わった後で読売新聞社の記者の人から取材を受けたのだが…コレという決め手にかける返事しかできなかった気がする。父兄の人とか集まってきたので一緒に話をしたのだが,やはりこういう話の需要は多いだろうという。別の会でも取り上げてみたいとのこと。

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2007.05.11 (Fri)

大学入試と情報フォーラム2007

・大学入試と情報フォーラム2007が6/9に東京大学小柴ホールで開催されるとのこと。予定あけて行ってきたいな。東京大学にはまだ足を踏み入れたことがないし。とりあえず出張申請は出してみよう,通るかどうかはともかくとして。

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2007.05.10 (Thu)

のしろさんがWIDEに

・といっても太ったわけではなくて,情報Bの授業をWIDEのSOIでやるということらしい。本校も同じ情報Bをやっているので同じ単元のところとか参考にしたいし,自分とこに抜けているものを補っていきたい。意見や感想は日記の方にということらしい。

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2007.04.14 (Sat)

校長会の要望書に呆れた

・全国高等学校長協会から「学習指導要領改訂に向けて(お願い)」という要望書が出たらしい。その中に,教科「情報」についての記述がある:

高校入学時の生徒技能差は拡大の一途です。高校での指導者不足と相まって、教科としての存続を疑問視する意見がかなりあります。情報モラル教育は大事ですが、これは「情報」で扱うのが適切か、他教科内指導や生徒指導一般で扱う方がよいのか、今後の検討が必要です。

だいたい,指導者不足だからといって手を引いてしまったら,事態がさらに悪化するという単純な因果に気づいていないのだろうか。

それに今の「指導者」の多くは曲がりなりにも講習を受けてそのための勉強をした上で教壇に立っている(はずだ)。情報モラルの指導を他教科や生徒指導で行なうというなら,その指導を行なう者がそのための勉強をしてくれるという前提が必要なのだが,果して彼らは適切な勉強をする環境を手に入れられるだろうか。いいかげんな情報がまるで常識の顔をして出回っている中で,生徒を指導するに足る知識や考えを作り上げるのは簡単なことではない。

・だいたい,各学校の校長がこの国の将来のことを考えた上でその発言をしたのか?私にはそんな風には思えない。辰己先生の研究雑報へのコメントに書いたように,彼らにとって重要なのは地域内他校と自校の格差であって,他国と自国の格差ではない。なぜならそれは親たちの要望でもある…わが国の心配と,わが子の心配は別物なのだ。彼らはひょっとして日本が情報先進国であるとでも錯覚しているんじゃないか?

新しい世界に対応するためには10年耐えて試行錯誤するという腹の括り方が必要で,そのビジョンを示すことで(腰が引けてしまっている)校長たちを引っ張るのが,国の機関が果たすべき役割だと考えている。

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2007.03.10 (Sat)

ワープロ07

・というわけで深夜バスで新宿に着いたのが6時前。例によって時間が余りまくってしまうのが難点だ。国立の駅前から一橋大学までの道がきれいに整備されてることに感心しつつ,ベンチで文庫本を読んで時間をつぶす。

・午前の基調講演を聞いて思ったこと。情報処理学会を外から見てる人の中には同学会はプログラミングを中心にやれと言っているとかプログラミングの体験は数時間だなんて,ずいぶん軟化したじゃないかというような誤解をしている人がいるのだが,プログラミングへの忌避や抵抗感がこういう誤解を拡大しているようにも思える。

・午後の情報分科会では,Computer Science UnpluggedとPENの話。私も「こんなことしかできてません。へろへろ」という発表を手短に行なった。発表の後で某大学の先生が話をしてくれたのだが,彼の授業では代入や順次実行だけで90分使っているとのこと。というのも,その先のことがわからなくなる原因を探っていくと,結局そういった基本の弱さに起因するということらしい。なるほど,私は数学の場合よりもっと「わからない人の考えがわかっていない」のだろうと気づかされた。

それにしても,終わってからの質疑で代入が移動になるような言語を考えることは面白いかもしれないという話が出るあたりはさすがだなと感心した。また,原理に関する話を高等教育でやって初等中等でオフィスソフトを扱うというのは,本当なら逆じゃないのかという意見にはまったく納得させられた。

・懇親会ではUnpluggedの実践を発表された先生方との話が中心になった。私は小さい頃に買ってもらった「チャイクロ」という絵本のことを思い出していた。Unpluggedは確かに効果があると思うのだけど,これが特別なことに思えてしまうほど初等中等教育での情報教育の手持ちカードが少ないことは,実はけっこうまずいことでもある。つまり,そのくらいにまだ歴史が浅いということだ。

上で「初等中等教育でオフィスソフトを扱うのは逆だ」ということを書いたが,だったらなぜそういう状況になっているかといえば,情報教育へのアプローチをそれ以外に知らないからではないだろうか。

・二次会では情報を必履修から外そうとしている勢力のことなどの深刻な話題も出たし,この業界はミュージシャン崩れも多いけど「鉄」属性の人も相当…「いや,俺は鉄じゃない」とか,そんなのんびりした話もあった。

・帰りの電車の中でケータイで検索したら,三鷹に3000円のカプセルホテルがあるということなので,PEN開発者の中村氏と一緒にそこで泊。マンガ喫茶じゃないところで泊まるのって久しぶりかもしれない。

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2007.02.24 (Sat)

Thinking Tools

・関西大学の黒上先生が,シンキングツールをどのように授業に取り入れるかを考えるワークショップを行なうというので,早退して高槻市まで。名古屋〜京都って新幹線だと半時間程度なのね。

セミナーは黒上先生の挨拶のあと,大学院生の方が中心になって進んでいった。参加者は30人くらいかな。同じテーブルの人どうしで発表するスタイルなのだが,わりとみなさん積極的でいい感じ。関西弁でなごやかに話が進み,その中に刺激もある。今までKJ法やマインドマップは自分でも使ってきていたけど,そこまで大仰なものじゃなくても書いてみるとけっこう役に立つものなのだということを実感した。どこかでこういうのを使って,直線的なノートから生徒を解放させたいと思うのだが…。

そのとき紹介された本「The Big Book of Reproducible Graphic Organizers」(Jennifer Jacobson, Dottie Raymer著,Scholastic Prof Book Div,ISBN 0-590-3788408),「50 Graphic Organizers for Reading, Writing & More: Reproducible Templates, Student Samples, and Easy Strategies to Support Every Learner」(Karen Bromley, Linda Irwin Devitis, Marcia Modlo, Linda Irwin-Devitis, Marcia Modio著,Scholastic Prof Book Div,ISBN 0-590-00484-0)はさっそくアマゾンで注文した。

・帰り道,商店街の手前に一発屋が。せっかくなので,ちょっと早い夕食に地獄ラーメンの一丁目をいただいた。このくらいだと全然辛くないのね。二丁目で体脂肪を減らしてみてもよかったかも。うん,おいしい。壁ににしにしの写真が貼ってあるので,親父さんと少し話した。

一丁目

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2007.02.23 (Fri)

教科「情報」の向かう方向

・必修教科「情報」の内容は今後どうなるべきかということについて,MTさんの「情報AとCを中心に必修科目を再構成し,B(あるいはその延長)を選択科目とする」案に賛同する意見をいくつか目にした(aromatic Kamさんとか)が,私の考えは少し違う。

・まず,MTさんがまとめた情報教育の流れ

情報教育観の流れを考えて見るとプログラミング教育を主体とした第一世代の情報教育観、アプリケーションの使い方を主体とした第二世代の情報教育観、単なるツールの使い方を教えるのではなく、情報そのもの、情報の処理の仕方、情報の収集や発信の方法、問題の発見計画と解決方法の検討、情報モラルの育成などを主にした第三世代の情報教育観と流れてきたわけで、この流れは必然的だったと思うわけです。

については異論なし。情報の授業で何をやっているかという話でアプリケーションの名前だけが出てくるのを聞くと,いつまで「第二世代」にとどまるつもりなのかともどかしく思う。多くの大人が「第二世代」しか知らないために,教科「情報」はそういうものだと矮小化されてしまっている(それゆえに立場が弱い)ことについても同様だ。だから全体的な流れが「第三世代」に向かうことについては異をとなえるものではない。

しかし,第一世代あるいはそれ以前の電子機器としてのコンピュータのイメージを持たないまま,それを使っていくことには疑問を感じる。コンピュータやネットワークが魔法なんかではなく,現実的な技術の上にあることを実感することは,能動的な利用者になるためには必須ではないかと思うのだ。たしかに「プログラミングが使えるようになる」レベルを全員に求めることはかなり無理があると思うが,そんなことまで私は望んでいない。プログラミングなんかできなくても,十分に情報機器の恩恵を受けることはできる。しかし「プログラミングを体験」することはそんなに重荷だろうか。ほんの数行のプログラムでいい,少し数値や文字列を書き換えて遊んでみる程度でもいい,自分が書いた通りに動作するという体験を持つだけで,目の前の機械との主従関係は違ってくるのではないだろうか。

・そういう意味では,現在の情報Bで扱われているのが「アルゴリズム」であって「プログラミング」でないのは疑問だ。逆にすべきじゃないのか?むしろアルゴリズムは数学で扱った方がいいと思うし,ついでにいえば文章の構造化も国語科でもっとうまくやってほしい。数学や国語がいつまでも紙の上だけをフィールドにしている怠慢にも目を向けてもらいたい(誰が?)。

・学年末試験の問題作りが進まないので,つらつらと考えを垂れ流してみた。

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2007.02.18 (Sun)

授業改革フェスティバル

・ということで出かける。私は授業で使った教材プリントを展示して,それらを収めたCD-Rを持ち帰り用に準備しておいた。終わって片付けるとき,CD-Rは25枚くらい減っていたかな。残りは職場でばらまくとしよう。他教科の教師は「情報」という教科を知らないから,いまだに「パソコンの授業」というでたらめを言う。だったら数学は「紙と鉛筆の授業」か?

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