ほぼ日刊イトイ新聞を見てたら気になる引用を見かけたので,「ハッピーになれる算数」(新井紀子著,理論社,ISBN 4-652-07809-9)を買ってみた。ちょっと早めのペースで8割ほど読んだが,この内容は高校生に読ませたいなあと思う。前述した「気になる引用」というのは
(略)数学ができるようになるかは,そんな,数学的センスがあるかどうかにかかっている,というのは迷信です。数学ができるようになるかどうかは,あたりまえのことをバカにせず,省略せずに,順番に書く練習ができるかどうか,にかかっています。
というもので,これは普段から私が高校で数学を教えるときに思っていることそのものだ。普通の大学入試程度の問題くらいまでなら「センス」や「ひらめき」なんてものは不要で,論理と「あたりまえ」を積み重ねて表現する根気があれば十分だと思っているのだが,この本が言っているのもそういうことだと思う。生徒たちが「勉強」というものを勘違いしていないか,あるいは学校がそうさせてはいないか,そんなことを改めて考える。
以前「いかにして問題をとくか」(G.ポリア著,丸善,ISBN 4-621-04593-8)を読んだときにも「数学ができる生徒は『この本には当たり前のことしか書いてない』と思うだろうし,そうでないなら本当に数学ができるとは言えないのではないか」と思った。今の生徒にも読んでほしいと思っていたのだが,「ハッピーに…」の方がずっと読みやすいだろう。
mixiで友人が推薦していた「生きて行く私」(宇野千代著,角川文庫,ISBN 4-04-108602-7)も一緒に買ったのだが,これは仕事が落ち着いてから読むことにしよう。私はわりと文体の好き嫌いがあるようで,読めないものは字面をいくら追ってもまったく頭に入ってこないのだが,この本はどうやら読めるようだ。
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